その他の義務

宅建士

事務管理と不当利得

 

事務管理

事務管理(じむかんり)とは、大陸法系の私法において、法律上の義務がない者が、他人のために他人の事務の管理を行うことをいう。不当利得や不法行為と並ぶ法定債権の発生事由である。

事務管理 – Wikipedia より引用

留守にしているご近所さんの家を台風から守ったりしたときに発生するよ

 

台風

Aは、隣人Bの留守中に台風が接近して、屋根の一部が壊れていたB宅に甚大な被害が生じる差し迫った恐れがあったため、Bからの依頼なくB宅の屋根を修理した場合。

Aさん優しいね

こういった時にAさんに事務管理の規定が適用されるよ!

 

報酬請求権

Aの行為は、義務なく他人のために行われた行為であるから事務管理に当たり、民法の事務管理の規定が適用される(民法697条以下)。事務管理については、報酬請求権の規定がないため、特段の事情がない限り、管理者AはBに報酬を請求できない
Aは、Bに対して、特段の事情がない限り、B宅の屋根を修理したことについて報酬を請求することができません

 

無条件に報酬を請求できる訳ではないんだよ

よその家の壁に勝手にアート作品を描いて報酬を要求することはできないよね!

キキ

特段の事情ってなんだろ?

 

有益な費用

事務管理者は、本人の意思に反することなく本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対しその金額の償還を請求することができる(民法702条1項、同条3項参照)。
AによるB宅の屋根の修理が、Bの意思に反することなく行われた場合、AはBに対し、Aが支出した有益な費用全額の請求を請求することができます

 

Bさんにとって有益な事だったら、請求できるんだよ!

 

注意義務

通常の事務管理では、管理者は、善良な管理者の注意義務を負うものと解されている。しかし、本人の身体、名誉又は財産に対する危害を免れさせるために事務管理をしたときは、管理者は悪意又は重大な過失がなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わないとされ(緊急事務管理。民法698条)、善良な管理者の注意義務を免れる
Aは、B宅の屋根を善良な管理者の注意をもって修理する必要はありません

 

緊急事態の時の事務管理は善良な管理者の注意義務を免れるんだよ

 

報告義務

事務管理者は本人の請求があるときは、いつでも事務の処理の状況を報告しなければならない(民法701条、645条)。
Aは、Bからの請求があったときには、いつでも、本件事務処理の状況をBに報告しなければなりません

 

優しいAさんの行いで結構色んな義務が乗っちゃうね

これはもはやGIVEの精神が必要ですね!

 

倒壊しそう

倒壊しそうなA所有の建物や工作物について、Aが倒壊防止の措置をとらないため、Aの隣に住むBがAのために最小限の緊急措置をとった場合。

緊急事態のヒーローBさん!

償還の請求

この場合の緊急措置は事務管理に当たり、この場合管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる(民法702条)。
Aの承諾がなくても、Bは倒壊防止の費用をAに請求することができます

 

Bさんが緊急措置してなかったら、被害が出てたかもしれないからね!

 

借金返済

BはDに200万円の借金があり、その返済に困っているのを見かねたAが、Bから頼まれたわけではないが、Bに代わってDに対して借金の返済を行った場合。

頼まれたわけではないのに借金を返済することは、義務なく行っている行為であるから事務管理になるよ!

 

事務管理は契約ではないから、Aさんが支払った200万円は契約に基づく債権ではありません。
よって、AがDに支払った200万円につき、AがBに対して支払いを求める場合の債権は契約に基づいて発生するものではありません

 

事務管理は契約ではない

 

 

不当利得

不当利得(ふとうりとく)とは、契約などのような法律上の原因がないにもかかわらず、本来利益が帰属すべき者の損失と対応する形で利益を受けること(利得すること)、またはその受けた利益(利得)そのもののこと。またはそのような利益が本来は帰属すべきだった者に対して自身が得た利益(利得)を返還させる法理あるいは制度(不当利得法、不当利得制度)のこと。日本の民法においては民法第703条から第708条に規定されている。

不法行為でも、事務管理でもなく発生する義務だね!

錯誤取り消し

Bは、B所有の乙不動産をAに売却し、代金1,000万円の受領と同時に登記を移転して引渡しも終えていた。しかし、Bは、錯誤を理由に売買契約を取消すとして、乙不動産を返還し、登記を戻すようにAに求めた。これに対し、AがBに対して、1,000万円(代金相当額)の返済を求める場合。

錯誤取消しについて詳細はこちら!

 

原状回復義務

Bは売買契約を取消すとしているが、契約が取消しとなった場合、Bは法律上の原因なく1000万円を保持していることになる。よってこの場合AのBに対する債権は原状回復義務(民法121条の2)によって発生している。
この場合、AがBに対して金銭の支払いを求める(債権)原状回復義務によって発生しているので、契約に基づいて発生するものではありません

 

錯誤取消しは原状回復義務義務で契約ではない

 

 

最後に

勉強したことは過去問アプリなどで復習しましょう!

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