その他の業務上の制限
宅建業務上の規制
宅建業をするにあたって、してはいけないことが色々と定められているよ!
過去問を見ていきながら、業務上制限されている行為を勉強していこう!
宅建業者への供託所の説明
宅建業者は営業保証金から還付を受けることができないため、取引の
相手方が宅建業者である場合は、供託所等の説明をするのは不要とされている(宅建業法35条の2)。
営業保証金を供託している宅地建物取引業者が、売主として、
宅地建物取引業者との間で宅地の売買契約を締結しようとする場合、営業保証金を供託した
供託所及びその所在地について、買主に対し
説明をする必要はない。
建築確認前
売買契約
建築確認を受けることを停止条件とする特約をつけたとしても、まだ
建築確認を受けていない場合、工事完了前の建物の売買契約を締結することはできない(宅建業法36条)。
なにがなんでも、建築確認前の建物の売買・交換はできないよ
宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する工事の完了前において、
建築確認の申請中である場合は、建築確認を受けることを停止条件とする特約を付けても、自ら売主として当該建物の
売買契約を締結することはできない。
貸借契約
宅地建物取引業者は、
工事完了前の物件については、当該工事に必要とされている開発許可・建築確認等の処分があった後でなければ、売買・交換契約を締結することは禁止されているが、
貸借契約を媒介・代理することは禁止されていない(宅建業法36条)。
宅地建物取引業者は、建築確認が必要とされる建物の建築に関する
工事の完了前において、
建築確認を受ける前であっても、当該建物の
貸借の媒介をすることができる。
造成工事完了前
都市計画法29条1項の
許可が必要な造成工事完了前の宅地においては、その
許可を受けていなければ、売買契約を締結することができない(宅建業法36条)。
宅建業者が買主となる場合も同様である(同法78条2項参照)。
買主が宅建業者でも工事完了前の宅地は許可が無いと買えないんだね
宅地建物取引業者が、買主として、造成
工事完了前の宅地の売買契約を締結しようとする場合、売主が当該造成工事に関し必要な都市計画法第29条第1項の許可を
申請中である場合、当該
売買契約を締結することはできない。
手付金
着手後
解約手付による契約の解除は、相手方が履行に着手した後はすることができない。すでに所有権の移転登記を行い引渡しが行われている場合は、履行に着手しているといえるので、
手付放棄による解除を拒むことができる(宅建業法38条2項)。
手付金を放棄したら、いつまでも解除できるのは買主に有利すぎるよね
宅地建物取引業者Aは、建築住宅の売買の相手方である買主から
手付放棄による契約の解除の通知を受けたとしても、すでに
所有権の移転登記を行い引渡しも済んでいる場合は、そのことを理由に当該
契約の解除を拒むことができる。
履行遅延の禁止
不当な遅行遅延の禁止は、
宅地若しくは
建物の登記若しくは
引渡し又は
取引に係る対価の支払を対象とするのみである(宅建業法44条)。
秘密を守る義務
宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない(宅建業法45条)。
正当な理由がある場合の例
- 依頼者本人の承諾があった場合
- 裁判の証人として証言を求められたとき など
判断時間
宅建業者は、
正当な理由なく、契約を締結するかどうかを判断するために
必要な時間を与えることを拒んではならない(宅建業法47条の2第3項、宅建業法則16条の12第1号ロ)。
正当な理由がある時ってのはすぐ判断しないと、他の人が契約しちゃう場合とかですかね
宅地建物取引業者は、契約の締結の勧誘をするに際し、
正当な理由がなければ、相手方に対して当該契約を締結するかどうかを判断するために
必要な時間を与えることを拒んではならない。
両方携帯
宅建士証は従業員証明書の代わりにはならないため、
両方携帯させる必要がある(宅建業法48条1項参照)。
宅地建物取引業は、その業務に従事させる者に、従業員証明書を携帯させなければならず、その者が宅地建物取引士で
宅地建物取引士証を携帯していても、従業員証明書を携帯させる必要がある。
従業員名簿
10年保存
宅建業者は事務所ごとに従業員名簿を備えなければならず(宅建業法48条3項)、その名簿は
最終の記載をした日から10年保存する必要がある(同則17条の2第4項)。
帳簿
パソコン記録
帳簿の記載事項を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、必要に応じ当該事務所においてパソコンやプリンターを用いて紙面に印刷することが可能であれば、
帳簿への記載に代えることができる(宅建業法則18条2項)。
35条書面や37条書面と違って、宅建士の記名押印は必要ないから電子でも可能だね
帳簿の保存
宅建業者は事務所ごとに業務に関する帳簿を備える必要があり(宅建業法49条)、
帳簿の閉鎖後5年間(当該宅地建物取引業者が
自ら売主となる新築住宅に係るものにあっては10年間)当該
帳簿を保存しなければならない(同則18条3項)。
普通は5年間だけど、自分で新築住宅を売った時は長めに10年間、帳簿を保存するよ!
取引のつど
業務に関する
帳簿への記載は、取引のあったつど行わなければならない(宅建業法49条)。
宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、宅地建物取引業に関し
取引のあったつど、一定の事項を記載しなければならない。
クーリング・オフ
専任の宅建士を置くべき場所に該当しない案内所で契約を申し込んだ場合、クーリング・オフができる。
案内所等で、クーリング・オフ制度の適用がある場合、その旨の表示は、標識の記載事項とされている(宅建業法50条1項、宅建業法則19条2項4号)。
クーリング・オフできるよーってわかるようにしてもらわないと不安だよ
宅地建物取引業者が、他の宅地建物取引業者が行う一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介を、案内所を設置して行う場合で、その案内所が専任の宅地建物取引士を置くべき場所に該当しない場合は、当該案内所には、
クーリング・オフ制度の適用がある旨を表示した標識を掲げなければならない。
標識
宅建業者は標識を掲げることを要求されている(宅建業法50条1項)。
宅地建物取引業者は、その主たる事務所に、宅地建物取引業者免許を掲げなくともよいが、国土交通省令で定める
標識を掲げなければならない。
違反する場合
勧誘時
宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘に際して、相手方に対し、
勧誘に先立って宅建業者の商号又は名称、勧誘を行う者の
氏名、契約の締結について
勧誘をする目的である旨を告げなくてはならない(宅建業法47条の2第3項、宅建業法則16条の12第1号ハ)。
名称を言ってない
宅地建物取引業者Aの従業員Cは、投資用マンションの販売において、
勧誘に先立ちAの名称を告げず、自己の氏名及び契約締結の勧誘が目的であることを告げたうえで勧誘を行ったが、相手方から関心がない旨の意思表示があったので、勧誘の継続を断念した。
勧誘をやめても、勧誘の前に宅建業者の名称を言ってないからいやよ
目的を言ってない
宅地建物取引業者が、アンケート調査をすることを装って電話をし、その
目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに勧誘をする行為は、宅建業法に
違反する。
宅地建物取引業者A社の従業員は、勧誘に先立ってA社の商号及び自らの氏名を告げてから勧誘を行ったが、
勧誘の目的が投資用マンションの売買契約の締結である旨を告げなかった。
重ねて勧誘
取引に応じる意思がないことを明確に表明した相手方に対して重ねて勧誘することは禁止されている(宅建業法則16条の12第1号二)。
日を改めてもダメ
宅地建物取引業者Aの従業者は、マンション建設に必要な甲土地の買受けに当たり、甲土地の所有者に対し、電話により売買の勧誘を行った。その際、
売却の意思は一切ない旨を告げられたが、その翌日、
再度の勧誘を行った。
人を変えてもダメ
宅地建物取引業者が、その従業者をして宅地の売買の勧誘を行わせたが、
相手方が明確に買う意思がない旨を表明した場合、別の従業者をして、
再度同じ相手方に勧誘をおこなわせることは宅建業法に違反する。
アプローチを変えてもダメ
宅地建物取引業者Aは、投資マンションの販売に際し、電話で勧誘を行ったところ、勧誘の相手方から「購入の意思がないので二度と電話をかけないように」と言われたことから、電話での勧誘を諦め、当該相手方の自宅を訪問して勧誘した。
迷惑な時間に勧誘
迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問することは禁止されている(宅建業法47条の2第3項、同則16条の12第1号ホ)。
宅地建物取引業者A社による投資用マンションの販売の勧誘に関する行為で、A社の従業員は、勧誘の相手方から、「午後3時に訪問されるのは迷惑である。」と事前に聞いていたが、深夜でなければ迷惑にはならないだろうと判断し、
午前3時に当該相手方を訪問して勧誘を行った。
私生活の平穏を害する勧誘
宅地建物取引業者A社は、建物の販売に際して、短時間であったが、
私生活の平穏を害するような方法により電話勧誘を行い、相手方を困惑させた。
預り金の返還拒否
申込証拠金から書類の処分手数料を差し引くことは、宅建業者の相手方等が
契約の申込みの撤回を行うに際し、すでに
受領した預り金を返還することを拒むことに該当し、違法となる(宅建業法47条の2第3項、宅建業法則16条の12第2号)。
宅地建物取引業者が売主である新築分譲マンションを訪れた買主Aに対して、当該宅地建物取引業者の従業員Bが行った次の発言内容は、宅地建物取引業法に
違反する。
不実を告げる
宅建業者は、その業務に関して、相手方に対して、宅地建物の売買・交換又は貸借の契約の締結について勧誘するに際し、宅建業法47条1号二に定められた事項について、
故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為をしてはならない。
宅地建物取引業者Aが、賃貸アパートの媒介に当たり、入居申込者が無収入であることを知っており、入居申込書の収入欄に「年収700万円」とあるのは
虚偽の記載であることを認識したまま、その事実を告げずに貸主に提出した行為は宅建業法に
違反する。
秘密を漏らす
個人情報
宅地建物取引業者は、個人情報の保護に関する法律第2条第3項に規定する個人情報取扱事業者に該当しない場合でも、
業務上取り扱った個人情報について、正当な理由なく他に漏らしたときは、秘密を守る義務(宅建業法45条)に
違反する。
廃業後もダメ
宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を
営まくなった後に、その業務上取り扱ったことについて知り得た
秘密を他に漏らした場合、宅建業法に違反する。
手付
契約解除
宅地建物取引業者A社は、建物の販売に際して、売買契約の締結後、買主から
手付放棄による契約解除の申出を受けたが、正当な理由なく、これを拒んだ。
正当な理由(履行に着手したなど)がないと、手付金を放棄する契約の解除は拒まれないんだね
手付金の分割払い
宅建業者は、その業務に関して、相手方に対して、手付について貸付その他信用の供与をすることにより、契約の締結を誘引する行為をしてはならない(宅建業法47条3号)。
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、建物の売買契約を締結するに際し、買主が手付金を持ち合わせていなかったため
手付金の分割払いを提案し、買主はこれに応じた。
不当な高額報酬
不当に高額の報酬を要求する行為は宅建業法47条2号で規制されている。
宅地建物取引業者A社は、建物の売買の媒介に際して、売買契約の締結後、買主に対して
不当に高額の報酬を要求したが、買主がこれを拒んだため、その要求を取り下げた。
取引態様
宅建業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文した者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない(宅建業法34条2項)。
宅建業者から注文を受けた場合も、取引態様の別を明らかにしなけらばなりません。
取引態様の別ってのは代理なのか、媒介なのかってところだね!
宅地建物取引業者Aは、宅地建物取引業者Fから宅地の売買に関する注文を受けた際、Fに対して
取引態様の別を明示しなかった。
35条書面
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bと宅地の売買について交渉を行う場合。
重要事項説明は契約成立前
重要事項説明は契約成立前に行う(宅建業法35条1項柱書)が、37条書面の交付は契約締結後に行う。よって
重要事項説明に先立って37条書面を交付することはない。
比較
Bは、事業用地として当該宅地を購入する資金を金融機関から早急に調達する必要があったため、重要事項説明に先立って37条書面の交付を行うようA社に依頼した。これを受け、A社は、
重要事項説明に先立って契約を締結し、37条書面を交付した。
金銭の貸借のあっせん
代金又は交換差金に関する
金銭の貸借のあっせんの内容及び当該
あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置は重要事項説明に係る書面への
記載事項である(宅建業法35条1項12号)。
35条書面にも37条書面にも書かないといけなかったね!
Bは、当該宅地を購入するに当たり、A社のあっせんを受けて金融機関から融資を受けることとした。この際、A社は、重要事項説明において当該あっせんが不調に終わるなどして融資が受けられなくなった場合の措置について説明をし、37条書面へも当該措置について記載することとしたが、
融資額や返済方法等のあっせんの内容については、37条書面に記載するので、重
要事項説明に係る書面への記載は省略することとした。
違反しない場合
パッと見、違反しそうだけど違反しない事例を勉強しよう!
媒介報酬の分割
宅建業者が、媒介報酬を分割して受領することにより契約の締結を勧誘することは、宅建業法上禁止されていない。
手付金の分割はダメだったけど、媒介報酬の分割は良いんだね
宅地建物取引業者が、宅地及び建物の売買の媒介を行うに際し、
媒介報酬について、買主の要望を受けて
分割受領に応じることにより、契約の締結を誘引する行為は宅建業法に
違反しない。
手付金のあっせん
宅地建物取引業者が売主である新築分譲マンションを訪れたAに対して、当該宅地建物取引業者の従業員Bが行った次の発言内容。
B自身がAに貸与することを持ちかけていないので、宅建業法に違反しません。
宅建業者が相手方に対して、
業者自身による手付金の貸与を持ちかけて勧誘をする行為は違法です(宅建業法47条3号)。
事前連絡なし
宅地建物取引業者Aの従業者は、投資マンションの販売において、相手方に事前の連絡をしないまま自宅を訪問し、その際、勧誘に先立って、業者名、自己の氏名、契約締結の勧誘が目的である旨を告げた上で勧誘を行った。
代金値下げ
宅地建物取引業者A社の従業員は、勧誘の相手方が金銭的に不安であることを述べたため、売買代金を引き下げ、契約の締結を誘引した。
宅建士以外が普通の説明
重要事項の説明は、必ず宅建士が担当しなければならないが(宅建業法35条)、それ以外の事項は、宅建士以外の者が説明してもよい。
宅地建物取引業者Aは、土地の売買の媒介に際し
重要事項の説明の前に、宅地建物取引士ではないAの従業者をして媒介の相手方に対し、当該土地の交通の利便の状況について説明させた。
工事完了前の宅地の貸借
宅建業者は、宅地の造成工事完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法29条の許可があった後でなければ、当該工事に係る宅地につき、自ら当事者として、当事者を代理して「売買・交換」の契約を締結し、又は「売買・交換」の媒介をしてはならない(宅建業法36条)。
「売買・交換」はダメだけど、「貸借」はOKなんだね
宅地建物取引業者Aは、宅地の
貸借の媒介に際し、当該宅地が都市計画法第29条の許可の申請中であることを知りつつ、賃貸借契約を成立させた。
最後に
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