売主の担保責任

宅建士

売主の担保責任

 

売主の担保責任

当たり前の話ですが、売主は契約の目的物をきちんと買主に渡す責任があります。

契約通りに目的物を引き渡せない場合、売主が担保責任を負うことがあります。

それじゃあ、過去問から具体例を見ていていこう!

 

 

他人の土地を売買

Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約(以下「本件契約」という。)が締結されたが、甲土地がCの所有物であり、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができない場合

Aさんが勝手にCさんの土地を売っちゃってBさんに土地を渡せないん状況だね

Aさん他人の土地を売っちゃいけないよ

権利移転できないとき

他人の権利を売買の目的物としたとき、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う(民法561条)。そして権利が移転できない場合、買主は売主に対して損害賠償請求をすることができる(同564条、415条2項1号)。また、買主は契約を解除することもできる(同564条、541条)。
よって、この場合BはAに対して損害賠償を請求することも契約を解除することもできます

 

Aさん反省してください

 

 

契約不適合の抵当権

Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約(以下「本件契約」という。)が締結された。しかし、甲土地に契約の内容に適合しない抵当権が存在しており、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けた場合。

Bさんが買った土地に抵当権があり、差押えられてしまいました

権利移転の全部不能

抵当権の行使により買主が所有権を失った場合、権利移転の全部不能が生じている。よって、損害賠償を請求することができる(民法415条2項1号)。また、契約の解除をすることもできる(民法542条1項1号)。

契約内容にない抵当権が実行されて、Bさんに損害がでた時も、Bさんは損害賠償の請求と契約の解除ができるよ!

 

 

負担付贈与

担保責任

負担付贈与については、贈与者は、負担の限度において、売主と同じ担保責任を負う(民法551条2項)。

負担付贈与契約については、契約①でも詳しく勉強したよ

 

 

契約不適合

契約の不適合があった場合も担保責任(損害賠償、契約解除など)が問われます。この時、いつまで・誰に担保責任が問えるかなどが問題になります。

どんな場合があるんだろう?

 

中古車売買

Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。そして、当該自動車の種類又は品質が契約の内容に適合しなかった場合

自動車の種類又は品質が契約と異なっていました

担保責任の追及

担保責任を追及することができるのは、売主に対してのみである(民法562条)。単に媒介した媒介者には担保責任は追及できません

媒介しただけの人には責任はないんだね!

 

 

土地の面積

Aを売主、Bを買主として、令和2年7月1日に甲土地の売買契約(以下、「本件契約」という。)が締結された。しかし、甲土地の実際の面積が本件契約の売買代金の基礎とした面積より少なかった場合

契約した土地が思ってたより少なかった場合だね!

 

消滅時効が適用

売主が「種類又は品質」に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、代金の減額の請求をすることができない(民法566条)。

土地の面積が少なかったときは、「種類又は品質」ではなくて「数量の不適合になるよ

数量」に関して契約の内容に適合しないときは、民法566条の適用はありません
そのため、消滅時効の一般原則に従い、買主は引渡しのときから10年、その不適合を知ったときから5年以内に代金の減額を請求できる(民法166条1項)。
したがって、Bは甲土地の実際の面積が少なかったことを知った時から5年以内にその旨をAに通知しなければ、代金の減額を請求することができません。

 

土地の面積が少なかった(「数量」の不適合の)場合
損害賠償請求が可能な期間
  • 引渡しの時から10年
  • 不適合を知ったときから5年

数量(土地の面積)は種類や品質と比べ気付きにくいから、ちょっと緩めみたいなイメージですかね!

 

 

構造耐力上の不適合

事業者ではないAが所有し居住している建物につきAB間で売買契約を締結するに当たり、Aは建物引渡しから3ヶ月に限り担保責任を負う旨の特約を付けたが、売買契約締結時点において当該建物の構造耐力上主要な部分に契約不適合が存在しており、Aはそのことを知っていたがBに告げずBはそのことを知らなかった場合。

Aさんが建物に問題があることを隠してたんだね

 

特約の無効

売主は建物引渡しから3ヶ月に限り担保責任を負う旨の特約があるが、売買契約時点において当該建物の構造耐力上主要な部分に契約の不適合が存在しており、売主Aはそのことを知っていたが買主Bに告げずBはそのことを知らなかったことから、その責任を免れることができない(民法572条)。よって、この場合、特約はないものとして考える。

Aさんが隠し事をしてて悪いから、特約は認められないんだね!

 

損害賠償請求

契約不適合を理由とした損害賠償請求は、契約不適合を理由に売買契約を解除することができる場合にもできる(民法562条、564条)。
契約不適合を理由に売買契約を解除する場合でも、Bは契約不適合を理由にAに対して損害賠償請求をすることができます
この場合、契約解除も損害賠償請求も同時に可能です。

 

担保責任の追及期間

担保責任の追及は、買主が契約不適合の存在を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば可能である。したがって、建物引渡しから1年が経過したときに知ったとしても、当該契約不適合を知ったときから1年以内にその旨の通知をすれば、担保責任を追及することができる(民法562条、563条、564条、566条)。
Bが当該契約の不適合の存在を建物引渡しから1年が経過したときに知ったとしても、当該契約の不適合の存在を知った時から1年以内にその旨を売主に通知すれば、BはAに対して担保責任を追及することができます

 

引渡しの時期は気にしなくて、知ってから1年以内に通知すればいいんだよ

 

 

契約解除

担保責任の追及においては、契約をした目的を達成することができるか否かに限らず、買主は契約を解除することができる(民法564条、541条、542条)。
建物の構造耐力上主要な部分に契約の不適合が存在する場合には、契約の目的を達成できるか否かに関わらず、Bはその不適合を理由に売買契約を解除することができます

 

 

媒介者

売買契約の担保責任の追及は、売買契約の当事者である売主に対してのみできる(民法562条)。媒介業者がいる場合でも、媒介者は契約当事者ではないため、担保責任の追及はできない
AB間の売買をBと媒介契約を締結した宅地建物取引業者Cが媒介していた場合でも、BはCに対して担保責任を追及することはできません

 

媒介者に担保責任を追及することはできないんだね!

 

 

悪意の買主

Aは、Bに建物の建築を注文し、完成して引渡しを受けた建物をCに対して売却した。本件建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない物だった。その上でCが、本件建物が契約の内容に適合しないことを知って契約した場合。

悪意の(知ってた)買主Cさん

買主が契約不適合を認識している時点で、もはや契約不適合責任を追及することはできない
Cが、本件建物が契約の内容に適合しないことを知って契約した場合、契約不適合を知ってから1年以内でも、Aに対して売買契約に基づく契約不適合責任を追及することはできません
契約不適合について定めた民法562条1項は、条文で「善意」を要件としていないため、一見悪意の(契約不適合を認識している)買主であっても、契約不適合責任を追及できそうです。しかし、悪意の(契約不適合を認識している)買主は、実質的には「その不適合を含んだ本件建物を購入する契約」を結んだものとみなされ、買主はもはや契約不適合責任を追及することはできません

 

買主は事前に契約不適合を知ってたんだから、もし嫌だったら事前に契約しないことができたはずだからね!

 

 

 

最後に

勉強したことは過去問アプリなどで復習しましょう!

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