意思表示

宅建士

意思表示について

不動産に関する意思表示

不動産取引は基本的に大きな金額であり、正しい情報の基に売買契約などの意思表示をすることが求められます。以下のような条件で不動産取引に関する意思表示をした場合、消費者などに不利になる恐れがあるため、契約の無効や取消しなどが可能になっています。

  1. 虚偽表示
  2. 錯誤
  3. 強迫
  4. 詐欺

それぞれ見ていこう!

 

虚偽表示

虚偽表示とは?

虚偽表示とは?

虚偽表示とは、図のようにAさんとBさんが自分たちの利益などの為、仮想の不動産契約を装ったりすることです。そこに第3者としてかかわるCさんが善意(知らなかった)か悪意(知っていた)かによって契約の無効や取消しの可否が変わります。

 

ルール

無効の主張

虚偽表示の無効は善意の第三者に対して主張することができない
ナナ

これだけだと、よく分からないな…

少し具体的に見てみよう!

AさんとBさんが本当は売買する意思がないのに節税などの為、仮想の所有権譲渡をしました。

所有権はBさんにあるので、それを利用してBさんが第三者のCさんと売買契約をしました。

Aさんは本当は売るつもりがなかったため、A・B間の契約の無効を主張します。

この時、第三者のCさんが善意(A・B間の虚偽表示を知らない)だったらAさんの無効の主張は認められません。

何も知らなかったCさんが不利にならないようにするためだね!

一方、第三者のCさんが悪意(A・B間の虚偽表示を知っていた)であった場合はA・B間の仮装譲渡の無効が認められ所有権がAさんに戻ります。

第三者善意(知らなかった)か悪意(知っていた)で無効の主張の可否が決まる

この時、第三者の所有権の登記の有無は関係ないよ!

 

第三者

民法94条2項の「第三者」とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者のことをいう

ちょっと何言ってるか分からないです

じゃあ、具体的にどういう状況が第三者になるか確認しよう!

 

第三者として認められる場合

3人目のCさんが悪意でも、4人目のDさんが善意であれば、無効は主張できません。

仮装譲渡された不動産を差し押さえたCさん

仮装消費貸借などの「債権」を譲渡されたCさん

A・B間で土地の仮装譲渡、Bさん所有の建物にCさんが貸借する場合

 

 

仮装譲渡の権利に関して直接的に関わっている人が第三者だよ!

 

ナナ

じゃあ、第三者と認められない時ってどんな時だろう…

第三者として認められない場合

A・B間で土地の仮装譲渡、Bさん所有の建物にCさんが貸借する場合

 

土地と建物は直接は関係ないってことか!

あと、土地の所有権がAさんでもBさんでもCさんは問題なくBさんの建物に住めるよね

仮装譲渡された不動産を信じて貸付したCさん

第三者にあたりそうだけど、仮装譲渡された所有権にCさんが間接的に関わっているから第三者ではないんだよ

 

虚偽表示まとめ

虚偽表示とは、自分達の利益のため口裏を合わせて不動産などの仮装譲渡をすること
善意の第三者には仮装譲渡の無効を主張できない
第三者とは仮装譲渡に直接関係のある契約をした人のこと

 

 

錯誤

要素の錯誤

錯誤(さくご)」は「勘違い」、「要素」は「契約の重要な部分」のことです。

つまり、不動産契約において契約に重要な部分に関することに勘違いがあった場合、契約の取り消しが可能な場合があります。

勘違いで契約しちゃったのに取り消せなかったら大変!

 

要素の錯誤で意思表示の取り消し可能な人物は重大過失の無い表意者です

落ち度のない勘違いしちゃった人が取消し可能ってこと!

重過失のある錯誤も取消し可能にしちゃうと極端な話、何でもかんでも錯誤による取り消しができてしっちゃかめっちゃかになっちゃうね笑

 

ナナ

あと、勘違いされた側は取り消せないのか…

 

要素の錯誤で意思表示を取り消す場合、第三者善意でも悪意でも表意者は取り消し可能です
キキ

第三者が善意でも取り消し可能なのは虚偽表示とは違うな..

 

要素の錯誤による意思表示の取り消し例

AさんがBさんに不動産を売る「意思表示」をしました

Bさんは第三者のCさんと売買契約をしました

重過失の無い錯誤をしていたAさんは意思表示の取り消しをして所有権を取り戻せます

僕は過去問を回答する時は、「重過失がある」場合は基本取り消しはできないと覚えてます。

 

 

具体例

では、実際に過去問を参考に錯誤による取り消しが可能な具体例を見ていこう!

錯誤による取消しが可能な例

AさんもBさんも贋作と思っている

壺を10万円の価値の贋作と錯誤(勘違い)して取引している

 

錯誤による取消しが不可能な例

Aさんは贋作と思っているけど、お金が無いから10万円と言っている

10万円の取引は贋作と錯誤して行ったものでなく、お金が無いから取引している

これはややこしいけど、「お金が無いから」という部分は錯誤(勘違い)してないね!

 

Aさんが勝手に値上がりすると思ってた場合

 

勝手に思い込んでて、思った通りにならなかったからって取り消されたら困るよね

そんなわがままは許すまじ!

 

錯誤まとめ

重大過失の無い表意者は要素の錯誤で意思表示の取り消し可能
要素の錯誤で意思表示を取り消す場合、第三者善意でも悪意でも表意者は取り消し可能です

 

 

強迫

強迫の概要

強迫とは、他人を脅して畏怖させることです
キキ

強面なお兄さんに脅されて契約しちゃったよ…

そして、強迫による意思表示は取消すことができます

そんな時は契約を取り消すことができるよ!

 

強迫が理由の場合、第三者が善意でも悪意でも意思表示を取り消し可能です

①AさんがBさんに強迫されて売買しました  ②Bさんが第三者のCさんと売買しました  ③この時、Cさんが善意でも悪意でもAさんは強迫による意思表示の取り消しが可能です。

 

強迫された人を手厚く保護しているね!

 

 

詐欺

詐欺の概要

詐欺による意思表示の取り消しは、善意でかつ過失がない第三者に抵抗することができない(民法96条3項)

強迫と違って少し厳しめだね!

詐欺の場合は騙される方も悪い部分があるっていう部分と、何も悪くない第三者も守る必要があるからね!

 

詐欺取り消し後の第三者に対しては、対抗関係に立つ(民法177条)

詐欺による取り消しをした場合、どっちが先に登記をしたかによって勝敗が決まるよ!

 

登記は不動産が自分の者だと証明する事と覚えておこう

①AさんがBさんに詐欺によって売買しました  ②Bさんが第三者のCさんと売買しました  ③この時、Cさんが善意かつ過失がない場合Aさんは詐欺による意思表示の取り消しが無条件にできません ④先に登記した方が勝ちます

 

具体例

詐欺による意思表示の取り消しは複雑なので、具体例を見ていこう!

詐欺による取り消しが可能な例

第三者のCさんの詐欺をBさんが知っていいた場合

第三者のCさんが詐欺の事実を知っていた場合、Cさんが登記をしていても取り消しを主張できます

 

詐欺による取り消しが不可能な例

第三者が善意で無過失の場合、詐欺を理由とした取り消しはできません

詐欺による取り消しを主張した後に売買や登記をされた場合も同様です

 

ちょっと厳しい感じがするけど、Aさんが詐欺による取り消しをしたあとすぐに「登記をすることを怠った」とされちゃうよ!

 

この場合、Bさんが善意なのでAさんは詐欺による無条件の取り消しはできません。Dさんが悪意であろうと関係ありません。

 

 

意思表示の取り消しまとめ

これまでのことを簡単にまとめるとこんな感じかな!

意思表示まとめ

虚偽表示詐欺に関しては騙される側も悪いってイメージですかね!

 

 

最後に

勉強したことは過去問アプリなどで復習しましょう!

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