賃貸借契約①
賃貸借契約とは?
賃貸借契約は多くの人がしている賃貸アパートとかの契約のことだよ!
大家(賃貸人)としてアパートの一部屋をを賃料3万円/月で貸すよ
このように賃貸借契約は本来は口約束(諾成契約)で可能です。
ただし、実際問題、口約束では賃貸トラブルが多発することは目に見めているので、宅建業法や借地借家法などのルールを定めてトラブルの防止に努めています。
賃貸借契約のルール
じゃあ、まずは賃貸借契約の基本的なルールから見ていこう!
賃料
月末支払
賃料は、建物については
毎月末に支払わなければならない(民法614条)。
支払拒絶
建物の
賃貸人が必要な修繕義務を履行しない場合、賃借人は賠償もしくは減額を受けるべき
限度で賃料の支払いを拒絶できる。
こういう時にエレベーターの価値分の賃料の減額をできるイメージかな!
賃料の減額
貸借物の一部が
貸借人の責めに帰することができない事由によって使用及び収益をすることができなくなったとき、その
使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、
賃料は減額される(民法611条1項)。
AがBから賃借する甲建物に、運送会社Cに雇用されているDが居眠り運転するトラックが突っ込んで甲建物の一部が損壊した場合。甲建物の使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、
賃料は減額される。
賃料は減額できます
ちなみに、Aは、甲建物の残りの部分だけでは賃借した目的を達成することができない場合、Bとの賃貸借契約を解除することもできます。
賃借物の一部が使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは
賃借した目的を達成することができないときは、賃借人は
契約を解除することができる(民法611条2項)。
もし、トラックが突っ込んでほぼほぼ建物が全壊したら、さすがに住めないよね
修繕工事
賃貸人の修繕
賃貸人が
賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを
拒むことができない(民法606条2項)。
建物の賃貸人が賃貸物の保存に必要な修繕をする場合、賃借人は修繕工事のため使用収益に支障が生じても、これを拒むことはできません。
アパートは大家(賃貸人)の物だから、修繕の権利と義務があるよ
賃借人の修繕
賃借物の
修繕が必要である場合において、「賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、
賃貸人が相当の期間内に
必要な修繕をしないときは」、
賃借人は、その
修繕をすることができる(民法607条の2第1号)。
修繕してくれないときは自分(借主)でもできるんだ!
賃貸物の使用
賃貸借契約では、目的の範囲内で賃借物の使用ができる。
建物所有を目的とする借地人は、建物建築時に土地に石垣や擁壁の設置、盛土や杭打ち等の変形加工をする際には、建物建築に伴う目的の範囲内の行為といえるから、特に賃貸人の承諾は必要ありません。
もともと建物建築のために土地を貸してるんだから、そのために必要な工事の許可をいちいちとってたら面倒だよね!
原状回復
原状回復っていうのは、アパートなどの賃貸借契約が終了して退去する時に、入居時の状態に部屋を戻すことのことだよ!
原状回復のための費用は借りてる側が負担しないといけないのかな?
これも賃貸トラブルの元だから、法律などでいろいろ決まってるよ
判決文
【判決文】賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払いを内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕損耗等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると、建物の賃借人にその単体借において生ずる通常損耗についての現状回復義務を負わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、(中略)その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。
- 賃借人は原状回復して返還する義務がある。
- ただし、通常の使用で劣化する分の回復費用は賃料に含まれているものと考える。
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(
通常の使用収益によって生じた賃借物の損傷を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う(民法621条)。
借地借家法
借地借家法(しゃくちしゃっかほう、しゃくちしゃくやほう)とは、法的弱者である土地や家の借主を保護するために、民法よりも手厚く保護できるように定められた法律です。
借地借家法の基本
借主ファースト
借地借家法31条の規定に反する特約で建物の
賃借人又は転借人に不利なものは、無効となる(借地借家法37条)。
賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は無効です。
賃料増額しない特約
普通借家契約においては、一定の期間建物の借賃を
増額しない旨の特約がある場合には、
その定めに従う(借地借家法32条1項但書)。
定期借家契約では、
借賃の改定に係る特約がある場合には、借地借家法32条は適用しない(借地借家法38条7項)とあり、こちらも特約
に従うことになる。
賃貸借契約契約から3年間は賃料を増額しない旨の特約を定めた場合、定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該特約は有効である。
賃料を増額しないっていうのは、借主に有利だから、定期契約でも普通契約でも有効なんだよ
契約期間
当事者が
期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の
通知をしなかったときは、契約が更新されたものとみなされ、その
期間は、定めがないものとする(借地借家法26条1項)。
半年~1年くらいの余裕をもって次の部屋探しをしたいよね
もし、教えてくれなかったら、借主に有利になるように期間の定めがない契約になるんだね!
AがBとの間で、A所有の甲土地について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した。AがBに対し、賃貸借契約の期間終了の
6ヶ月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、AとBは、
期間の定めのない、賃料月額10万円の条件で
賃貸借契約を更新したものと見なされる。
中途解約
借家契約においては、途中解約ができないのが原則です。
契約を突然解除されたら、借主が次に住む所に困っちゃうからね!
ただし、何事も例外が存在するので、絶対に中途解約ができないわけではありません。
転勤とかで引っ越さないといけなくなった時とかに解約できなかったら困るよね
あとは、借主が賃料を滞納したりして信頼関係が破壊されてるときとかだね!
賃貸借の解約の申し入れ
建物の
賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、
解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する(借地借家法27条1項)。
造作買取請求
造作買取請求権に関する借地借家法33条は、強行規定を定める第37条であげられていないため、任意規定である、よって
特約があれば有効である。
期間満了により賃貸借契約が終了する際に賃借人は造作買取請求をすることができない旨の規定は、定期借家契約でも普通借家契約でも有効です。
借家契約の終了の際、借家人が建物に付加した造作(畳、建具、電気・水道施設など)を家主に時価で買い取らせることのできる権利。
造作買取請求権を行使できるのは、建物の賃貸借が
期間の満了又は
解約の申入れによって終了するときだけである(借地借家法33条1項)。
賃貸借契約が借主の賃料不払を理由として解除された場合、貸主の同意を得て借主が建物に付加したものであっても、借主は造作の買取を請求することはできません。
借地借家法の具体例
賃借権と引渡し
建物の賃貸借は、その登記がなくても、
建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物件を取得した者に対し、その
効力を生ずる(借地借家法31法)。
AがBとの間で、A所有の甲土地について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した。Cが、AB間の賃貸借契約締結前に、Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合でも、AがBに
甲建物を引き渡していたら、Cは甲建物の
賃借権をBに対抗することができない。
Cは実際に引渡しを受けているBに対抗できません
実際に住んでる人を優先(借主ファースト)してるね!
借地権
借地権者が、借地上に登記されている
建物を所有するときは、借地権の
登記がなくても、土地所有者に
借地権を対抗できる(借地借家法10条1項)。
その土地に建っている建物を持っていれば戦えるんだね!
Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。Bが
甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある
建物を有するDに対して自らが甲土地の
所有者であることを主張することができない。
Bさんは登記をしてませんでした
甲土地の買主Bと借地権者Dは、互いに当該土地の用益をめぐって対立する関係にあるので、両者は対抗関係に立つ(民法171条)。
よって、先に甲土地上の建物を所有したDに対して、所有権登記を備えていないBは甲土地上の所有者であることを主張できません。
民法との比較
甲土地の所有者が甲土地につき、建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「
ケース①」という。)と建物の所有を目的として賃貸する場合(以下「
ケース②」という。)
賃貸借の期間の定めがない場合、
期間は30年となる。契約で30年より長い期間を定めたときは、その期間となる(借地借家法3条)。
- 期間を定めない場合→期間は30年
- 期間を定める場合→自由に設定可能
民法
賃貸借の存続期間は、
50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めた時であっても、その期間は50年となる(民法604条)。
- ケース①(借地借家法)では、書面で契約を締結しなくても、期間は40年となる。
- ケース②(民法)では、口頭による合意であってもその期間は40年となる。
解約
借地借家法
期間の定めがない場合、借地借家法3条により期間が30年となり、一方の申入れによって解約することができなくなる。
- 期間を定めない→30年は申入れによる解除ができない
当事者が賃貸借の
期間を定めなかったときは、各当事者は、
いつでも解約の申入れをすることができる(民法617条1項柱書)。そして、
土地の賃貸借であれば
申入れの日から1年を経過することで終了する(同1項1号)。
- 期間を定めない→いつでも申入れによる解約ができる
- 土地の賃貸借の場合→申入れから1年で契約終了
期間を定めない契約を締結した後に賃貸人が甲土地を使用する事情が生じた場合。
- ケース①(借地借家法)では、賃貸人が解約の申入れをしても合意がなければ契約は終了しない。
- ケース②(民法)では、賃貸人が解約の申入れをすれば契約は申入れの日から1年を経過することによって終了する。
ケース①・②どちらの場合でも解約に関する権利を留保していないときは、一方的に中途解約はできません。
対抗
借地借家法
登記がなくても、土地の上に借地権者が
登記されている建物を所有するときは、これをもって
第三者に対抗することができる(借地借家法10条1項)。
借地権を
登記すれば、第三者に対抗できる(民法605条)。
Cさんは借地権が無くても対抗できます
- ケース①(借地借家法)では、賃借人は、甲土地の上に登記されている建物を所有している場合には、甲土地が第三者に売却されても賃借人であることを当該第三者に対抗できる。
借地権を登記してないと対抗できません
- ケース②(民法)では、借地権を登記すれば、甲土地が第三者に売却された場合に賃借人であることを当該第三者対抗できる。
借地借家法:登記なくても借地権の対抗可能
民法:借地権を登記しないと対抗不可能
最後に
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