債務不履行と解除
債務不履行
債務不履行とは簡単に言うと、約束を守らなかったという事です。債務不履行によって損害賠償が発生することがあります。
それじゃあ、過去問をもとに債務不履行と損害賠償の関係を見ていこう!
債務不履行のルール
法定利率
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、特段の定めがない限り、その損害賠償の額は、法定利率による(民法419条1項)。また、
法定利率は、年3%である(民法404条2項)。
買主Bが売買契約で定めた売買代金の支払期日までに代金を支払わなかった場合、売買契約に特段の定めがない限り、売主AはBに対して、年3%の割合による遅延損害金を請求することができます。
年3%とは仮に100万円借りていたら、1年後には103万円返さないといけません。
不確定期限
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の
請求を受けた時又はその期限の到来したことを
知った時のいずれか
早い時から遅滞の責任を負う(民法412条2項)。
債務の履行拒否
債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする(民法413条2項)。
債務の目的が特定物の引き渡しである場合、債権者が目的物の引き渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者が費用全額を負担しなければならない。
債権者の勝手な都合で増加した分は自分で負担するのが当たり前だね
遅滞と履行不能
債務者がその債務について
遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない理由によってその債務の
履行が不能となったときは、その履行の不能は、
債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす(民法413条の2第1項)。
はじめから約束を守ってたら、履行不能にはならなかったはずってことだね!
二重譲渡
債務者がその債務の本旨に従った
履行をしないとき又は債務の
履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた
損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(民法415条)。
二重譲渡
AB間でB所有の甲不動産の売買契約を締結した後、Bが甲不動産をCに二重譲渡してCが登記を具備した場合、AはBに対して債務費履行に基づく損害賠償をすることができる。
Bさんが二重譲渡をしたせいでCさんが登記を具備した場合、Aさんは甲不動産の所有権を主張できなくなるね
だからBさんはAさんに対して履行不能の責任を負うんだね!
契約成立時の履行不能
債務の履行がその契約の
成立の時に不能であっても、その不能が債務者の
帰責理由に基づく場合には、債権者は、債務者に対して、債務不履行による
損害賠償の請求をすることができる(民法412条の2第2項、415条1項)。
履行不能と知ってるのに契約した債務者は責任を負うよ
建物の建築と損害賠償
建物の建築に携わる設計者や施工者が、建物としての基本的な
安全性が欠ける建物を設計し又は建築した場合、設計契約や建築請負契約の当事者に対して、
当然契約上の債務不履行責任に基づく損害賠償責任を負う(民法415条1項)。
また、
契約関係にない建物の居住者に対しては、契約上の債務不履行責任はないものの、
不法行為に基づく損害賠償責任を負うことがありえる(民法709条)。
もし、不安全な建物が倒壊して通行人を怪我させたりしたら、その建物を建てた人が悪いよね
特別の事情による損害
「特別の事情によって生じた損害であっても、
当事者がその事情を
予見すべきであったときは、債権者は、その
賠償を請求することができる」(民法416条2項)
一般的(判例・通説)には、特別の事情によって生じた損害について、予見の主体が「債務者」であり、また予見の時点は「債務不履行時」であることは確立しています。
普通は債務者が債務不履行時に、予見を怠った場合が多いのですが、民法でそのように規定されているわけではないです。
裁判所
債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して
債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、
損害賠償の責任及びその額を定める(民法418条)。
債権者にも落ち度があったときは、裁判所に決めてもらうんだね!
金銭消費貸借契約
金銭の給付を目的とする債務の不履行に関しては、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない(民法419条3項)。
AはCの入金をあてにしてました
AB間の金銭消費貸借契約において、借主Aは当該契約に基づく金銭の返済をCからAに支払われる売掛代金で予定していたが、その入金がなかった(Aの責めに帰すべき事由はない。)ため、返済期限が経過してしまった場合でも、Aは債務不履行によって、Bに対して遅延損害金の支払義務を負う。
Bさんからしたら、入金がなかったからって「仕方ないな」とはならそうですよね。
損害賠償の額
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる(民法420条1項)。
説明義務
契約の一方当事者が、当該契約の締結に先立ち、信義則上の
説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼす
情報を相手方に提供しなかった場合には、上記一方当事者は、相手方が当該契約を締結したことにより被った損害につき、
不法行為による賠償責任を負っても、当該契約上の債務の
不履行による賠償責任を負うことはない(最判平23.4.22)。
重要な説明をしなかったことは、悪いこと(不法行為)ではあっても、約束を破った(債務の不履行)ではないってことだね!
不法行為と認められる
債務の不履行とは認められない
債務不履行による解除
債務不履行の時には損害賠償が発生する他に、契約そのものを解除できる場合があります。それぞれ過去問から具体例を具体例を見ていきましょう!
解除の具体例
手付金と解除
宅建業者は、相手方が契約の
履行に着手する前であれば
手付金の倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる(宅建業法39条2項)。また、この解除に
正当な理由は不要である。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約を行う場合。
Aが手付金を受領金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であれば、Aは手付金の倍額を償還すれば契約を解除することができます。
もし買主が履行に着手してたら、手付金の倍額を払っても解除はできないんだね!
付随的義務
(判決文) 法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、当該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、当事者が契約をなした主たる目的の達成に
必須的でない付随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該
契約を解除することができないものとかいするのが相当である。
おまけ的な義務(付随的義務)をサボったからって、契約の解除はできないんだね!
債務者が債務不履行にあるとき、債権者は相当に期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、債権者は、契約の解除をすることができる。ただし、債務不履行が契約及び取引条件に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることはできない(民法541条)。
拒絶の意思
債務者が
債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は相当の期間を定めてその催告をすることなく、
直ちに契約の解除をすることができる(民法542条1項2号)。
拒絶の意思表示
約束を守る気がさらさら無いから契約を解除されて当然だね!
原状回復義務と保証人
特定物の売買における売主の保証人は、特に反対の意思表示が無い限り、売主の債務不履行により契約が解除された場合に、原状回復義務である既払代金の返還義務についても保証責任がある(判例)。
最後に
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