借地借家法③
借家について
今回は借地借家法の中でも、特に建物を借りる借家について詳しく勉強しよう!
定期建物賃貸借
書面契約
期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、
公正証書による等書面によって契約をするときに限り、定期建物賃貸借とすることができる(借地借家法38条1項)。
別個独立の書面
借地借家法38条2項所定の書面は、契約書とは
別個独立の書面であることを要する(最判平24.9.13)。
定期建物賃貸借を締結するには、当該契約に係る賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了によって終了することを、当該契約書と同じ書面に記載して説明するだけではいけません。
定期建物賃貸借契約のときの書面は別に作らないとだめだよ
期間
定期建物賃貸借のときは、借地借家法29条1項が適用されない(借地借家法38条1項後段)
借地借家法29条:期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
よって、定期建物賃貸借契約を締結するときは、期間を1年未満としても、期間の定めのない建物の賃貸借契約とはみなされません。
現代は色んなライフスタイルがあるから、それにともなって賃貸借の形態も多様化してるんだよ!
だから、数カ月の短期間や海外出張の間だけ貸したいって人もいるんだね
定期借家契約であれば、1年未満の契約期間でも期間の定めのある契約として設定でき、貸主のリスク(貸した物件が返ってこない)を軽減することになります。
中途解約
床面積200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借において、転勤その他
やむを得ない事情により建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の
賃借人は、解約の申入れをすることができる(借地借家法38条5項)。
200㎡は60.5坪のことです。何畳かで表すと、約110畳~約138畳になります。
そんな豪邸じゃなければ、定期建物賃貸借でも転勤とかだったら借主から中途解約の申入れができるんだね!
同居人
居住の用に供する建物の賃借人が
相続人なしに死亡した場合において、その当事婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と
事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の
権利義務を承継する。ただし、相続人なしに
死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対の意思表示をしたときは、この限りでない(借地借家法36条1項)。
事実上の夫婦や親子で一緒に住んでた人が急に追い出されることはないんだね!
賃貸人Aと賃借人Bとの間で締結した居住用建物の賃貸借契約において、Bが相続人なしに死亡した場合、Bと婚姻の届出をしていないが事実上夫婦と同様の関係にあった同居者Dは、Bが相続人なしに死亡したことを知った後1月以内にAに反対の意思表示をしない限り、賃借人としてのBの権利義務を承継する。
事実上の夫婦はそのまま住めます
対抗
引渡し
建物の賃貸借は、その
登記がなくても、
建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物件を取得した者に対し、その効
力を生ずる(借地借家法31条)。
AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合。Cが、AB間の賃貸借契約締結前に、Aと甲建物の賃貸借契約を締結していた場合、Aが
Bに甲建物を引き渡したら、Cは、甲建物の賃借権を
Bに対抗することができない。
Bさんより前に契約してもCさんは対抗できません
CさんはBさんより先に契約してるけど、引渡しを受けたBさんの方が強いんだよ!
借主に不利な特約は無効
借地借家法31条の規定に反する特約で建物の
賃借人又は転借人に不利なものは、無効となる(借地借家法37条)。
賃借権の登記をしない限り賃借人は賃借権を第三者に対抗することができない旨の特約を定めた場合、
定期借家契約においても、普通借家契約においても、当該
特約は無効となる。
賃借権は引渡しを受けていれば主張できるんだったね!
定期建物賃貸借契約の終了
定期建物賃貸借において期間が1年以上である場合には、
期間の満了の1年前から6月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の
通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない(借地借家法38条4項)。
1年から6ヶ月前までに通知をしないと、勝手には定期建物賃貸借は終了しないよ!
転貸借の通知
建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の
賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない(借地借家法34条1項)。
Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合。Cが甲建物を適法に転借している場合、AB間の賃貸借契約が期間満了によって終了するときに、Cがその旨をBから聞かされていても、AはCに対して、賃貸借契約の期間満了による終了を対抗することができない。
AさんからCさんに通知してないのでダメです
転貸人のBさんからの通知だけじゃ終了を対抗できないんだよ!
転貸借終了の通知
通知をした場合、その日から
6ヶ月を経過することで転貸借は終了する(借地借家法34条2項)
転借して住んでたら、通知から6ヶ月で契約が終わっちゃうんだね
Aは、A所有の甲建物につき、Bとの間で期間を10年とする借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借契約を締結し、Bは甲建物をさらにCに賃貸(転借)した。AB間の賃貸借契約が期間満了で終了する場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸しているときでも、BのCに対する解約の申入れについて正当な事由がなくても、AはCに対して終了の
6ヶ月前に通知をすれば、甲建物の
明渡を請求することができる。
理由がなくても転借人に明渡を請求できます
転借人に対しては、契約終了の6ヶ月前に通知すれば正当な理由は必要ないよ
賃料の改定についての特約が定められていない場合、賃料増減額請求権は普通建物賃貸借契約でも定期建物賃貸借契約でも行使できます。
特約がなかったら、経済事情の変動により賃料が不相当になったときには、お互い賃料の増減を交渉できるよ
そうしないと、貸してる方も借りてる方も損しちゃうかもしれないよね
特約がある場合
賃料改定についての特約がある場合、
定期賃貸借契約の場合は、行使できない(借地借家法第38条7項)。一方、
普通賃貸借契約の場合は、そもそも賃料を
減額しない旨の特約は認められない(32条1項但書)が、賃料を増額しない旨の特約は結ぶことができる。
借主に不利な特約はできません
賃料を増額しないのは借主に有利だから特約が有効なんだね
そして、期間が決まっている定期賃貸借のときは減額しないことも定められるよ!
賃料の前払い
建物の賃借人は、賃料を前払いしていたことを賃借建物につき所有権を取得した新賃貸人に主張できる(判例)。
先に賃料払ってる人を追い出したりしたら、かわいそうだよ
AとBとの間でA所有の甲建物をBに対して、居住の用を目的として、期間2年、賃料月額10万円で賃貸する旨の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合。AがCに甲建物を売却した場合、Bは、それまでに契約期間中の賃料全額をAに前払いしていたことを、Cに対抗することができる。
賃料の前払いで一安心です
最後に
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