動物関係法令②

愛玩動物飼養管理士

動物関係法令②

 

動物の愛護及び管理に関する法律

まずは前回に入りきれなかった「動物の愛護及び管理に関する法律」について更に勉強しよう

 

販売・貸出時の事前説明

購入者等に対して動物の状態を直接見せ(現物確認)、動物の健康状態や飼い方などについて、文書などを使用して対面で説明(対面説明は事務所で行う)することが義務です。

導入の理由:飼養放棄や虐待等につながるおそれの高い安易な飼養や無理解な飼養などの未然防止をはかるため
事前説明の実施者は特に定められてはいません。

動物取扱責任者はあくまで窓口の役割だよ!

 

犬猫等安全計画

犬や猫の繁殖・販売を行う「犬猫等販売業者(第一種動物取扱業)」は、「犬猫等健康安全計画」を策定して、犬や猫の健康と安全の確保を図ることが義務です。

幼齢な犬猫の販売規制
生後56日を経過しない犬猫の販売が禁止されています。
導入の理由:次の問題点が指摘されたため
  • 幼齢期における販売が多いこと
  • 劣悪な環境での過剰な繁殖が一部で見られること
  • 販売できなかった場合の取り扱いが不明確である など

 

第二種動物取扱業の規制内容

届出

都道府県知事や政令市の市長への届出

  • 対象施設の例:動物愛護団体の動物シェルター、公園等での非営利の展示など
  • 対象動物の数:一定数以上の場合は届出が必要(例.犬猫の場合は10頭以上、大型の哺乳類の場合は3頭以上)
  • 対象施設:専用の飼養施設などを設けている場合は届出が必要

第一種動物取扱業と比べるとだいぶゆるいよ!

 

施設の規模・構造や管理など

第一種動物取扱業の基準に準じた基準

→適正な飼養施設、衛生管理、騒音防止など

 

罰則など

無届出第二種動物取扱業を行っていた場合、勧告・命令、罰金などの罰則が科される場合があります。

 

虐待と罰則(第44条)

罰則が科される虐待などの行為
  • みだりな殺傷
  • 虐待(給餌給水をやめる、適切な治療をしないなどといった行為)
  • 遺棄(屋外に放して危険や苦痛にさらすなどといった行為)

 

罰則:「みだりな殺傷」の場合が一番重い。5年以下の懲役または500万円以下の罰金

動物の遺棄・虐待は犯罪です。

動物の範囲:「愛護動物」という名称で、罰則が適用される「対象動物」が限定されています。
①牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと、あひる
  • 類型的に人に飼養されている動物(飼養の有無にかかわらず愛護動物)
  • 野良犬(野犬)、野良猫は愛護動物(ノイヌ、ノネコは愛護動物ではありません)
ノイヌ、ノネコ:完全に野生の犬猫の事で、「鳥獣保護法」の対象になります。

 

に掲げるもの以外の、人が飼養などをしている哺乳類、鳥類、爬虫類
飼養している愛護動物が病気になったときに、適切な治療などの保護を行わないことは、動物の虐待行為になる場合があります。

 

特定動物(第25条の2~33条、第45条)

特定動物人の生命・身体・財産に害を加えるおそれがある動物(哺乳類・鳥類・爬虫類)
  • 毒・爪牙による殺傷力
  • 物理的な圧力
  • 攻撃性

といった危害の程度、国内における飼養実態などを総合的に勘案して選定され、政令で指定されます。

特定動物

全国で約650種類も特定動物が指定されているんだって

規制の目的:人の生命・身体・財産への危害防止

 

許可の手続き都道府県知事や政令市の市長の許可
動物園や動物実験施設なども含みます。ただし、動物病院などでの診療は対象外です。
過去2年以内に違反している場合は、不許可になります。

 

主な規制内容
  • 許可の期間は5年間
  • 逸走防止などが徹底できる施設、管理方法
  • マイクロチップなどによる個体識別

 

罰則など
  • 立入検査や報告徴収
  • 違反した場合の懲役や罰金など

 

普及啓発(第3条)、動物愛護週間(第4条)

動物の愛護と適正飼養に関する普及・啓発のために様々な活動を行っています

教育活動・広報活動
  • 学校
  • 地域
  • 家庭等

 

動物愛護週間:広く国民の間に「命あるものである動物」の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深める目的
<時期> 毎年9月20日~26日
<実施者>国、地方公共団体、民間団体も協力
<内容> シンポジウム、講演会、慰霊際、フェスティバル など

 

動物愛護推進員(第38条)、協議会(39条)

協議会:構成員
  1. 都道府県等
  2. 獣医師の団体
  3. 動物愛護団体
  4. 動物取扱業者の団体
  5. 市町村 など
協議会の役割
  1. 推進員の委嘱推進
  2. 推進員の活動支援

 

動物愛護推進員:法的な取り締まり権限はなし
都道府県知事、政令市や中核市の市長が委嘱
動物愛護推進員の活動:ボランティア
  1. 動物愛護適正飼養啓発
  2. 繁殖制限啓発
  3. 譲渡の斡旋・支援
  4. 国・都道府県等施策への協力
  5. 災害時における国・都道府県等が行う保護施策への協力

→2、3は飼育者などからの求めに応じて実施

お互いに委嘱したり、支援したりし合いながら動物愛護の活動をしてるんだね

 

犬や猫の引取り(第35条)

都道府県・政令市や中核市は犬や猫が生きている場合は引取りが原則として義務です。

①「犬・猫」の引取りを所有者から求められたとき

②所有者の判明しない「犬・猫」を拾った人から引き取りを求められたとき

引取り拒否ができる事由(例)
①の場合
  • 犬猫等販売業者(動物取扱業者)からの引取り
  • 引取りを繰り返し求められた場合
  • 老齢や病気を理由としている場合
②の場合
  • 周辺の生活環境が損なわれるおそれがない場合

ちょっと近所に猫がいるくらいでは人間の生活にそれほど影響はないですよね

 

引き取られた「犬・猫」は環境大臣の指導に基づき、動物愛護センターなどで、適切に飼養・保管(治療を含む)した後、返還や譲渡などが実施されています。

 

負傷動物等の発見者の通報措置(第36条)

負傷動物等:「公共の場所」で疾病にかかり、負傷した「犬・猫等」の動物(死体を含む)
  • 「公共の場所」:道路、公園、広場、その他(屋内外、公有・私有は問わない)
  • 「犬・猫等」:ペットの犬や猫と同じように親しまれている小型の動物
負傷動物等を発見した際の通報は努力義務です

 

犬や猫の繁殖制限(第7条、第37条)

飼い主などの義務
  • 繁殖した犬や猫が適切な飼育を受ける機会を与えることが困難な場合は、繁殖制限措置を行わなければならない
一部の自治体では、不妊・去勢手術に対する飼い主への助成金の交付が実施されています。

 

都道府県・政令市・中核市の責任
  • 引取りに際して、繁殖制限が適切に行われるように「指導・助言」を行う(*「勧告・命令」ではありません)

あくまで、アドバイスするだけだよ!

  • 理由やねらい(繁殖制限を行わないと・・・)
  1. 過度の繁殖が発生しやすくなる
  2. このことが飼養放棄につながるおそれ
  3. この結果、野良犬や野良猫が増加する可能性がある

 

周辺の環境の保全等に係る措置(第25条)

周辺環境保全の場合
周辺の生活環境が損なわれている状況にしている飼養者
  • 臭気(飼料残さ、ふん尿など)
  • 鳴き声、その他の音
  • 毛等の飛散
  • ネズミ、昆虫の発生 など
飼養している頭数は関係ありません

 

周辺住民
  • 周辺住民の日常生活に著しく影響(1人でも)
  • 複数の住民からの申出など
  • 周辺住民間の共通認識

 

都道府県知事等:飼養者に対して指導
  1. 改善勧告
  2. 改善命令(虐待の場合は勧告無しにできる)
  3. 罰則:50万円以下の罰金(命令に違反した場合)

虐待、ダメ絶対

 

飼育動物と関係法令

狂犬病予防法

昭和25年8月26日法律第247号(議員立法で制定)

狂犬病の感染経路・症状など
  • 対象動物:すべての哺乳類
  • 感染した動物に咬まれて感染
  • 発症後は、ほぼ100%死亡
  • 潜伏期間は1~3ヶ月

 

発症予防:感染前・感染後の潜伏期間中のワクチン接種

 

発生状況
  • 日本では昭和32年以降、人・犬での国内発生なし(ネパール、フィリピンから帰国した旅行者が国内で発症した例あり)
  • 全世界では、毎年55,000人以上が死亡(東南アジア諸国でも発生)
発生がないのは、日本、オーストラリア等一部の国・地域のみ

 

目的:狂犬病の発生を予防し、そのまん延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図る

通常時の措置

国内対策

①登録:一生に一回(取得後30日以内)
②鑑札の装着

①予防注射:毎年1回
②注射済票の装着

野良犬(野犬)、未登録・未注射などの犬の拘留

対象動物(生後91日以降)

 

侵入防止対策

輸出入するときの検疫の実施

対象動物犬、猫、アライグマ、きつね、スカンク

 

発生時の措置

届出、隔離、臨時の予防注射、検診など

 

罰則

拘留又は科料、20~30万円以下の罰金

 

狂犬病は怖いから、しっかり予防しよう

 

身体障害者補助犬法

平成14年5月29日法律第49号(議員立法で制定)

目的:身体障害者補助犬の育成と身体障害者補助犬を使用する人たちが施設を利用する場合の円滑化を図ることにより、身体障がい者の自立及び社会参加の促進に寄与する

 

身体障害者補助犬:厚労省指定法人(訓練施設等)の認定を受けた犬
  • 盲導犬:目の不自由な身体障碍者のために進行などの補助を行う犬
  • 介助犬:肢体不自由な身体障害者のために日常生活での動作の補助を行う犬
  • 聴導犬:聴覚障害者のために音を聞き分け、情報伝達・音源誘導を行う犬

 

主な内容:次の義務や留意事項などが科せられている
①補助犬の訓練事業者
  • 補助犬の育成、能力認定など
②補助犬の使用者
  • 補助犬による事故防止、衛生確保
  • 補助犬の表示 など
③補助犬の同伴

(1)原則として拒んではならない施設や交通機関
公共施設、電車・タクシー等の公共交通機関、ホテル・デパート等の不特定多数が利用する施設
障害者が勤務する特定の会社(勤務している本人が同伴の場合)

もし拒んでも、罰則があるわけではないよ

(2)拒まないように努める施設
○住宅、会社(上記の障害者が勤務している会社以外の会社)

 

ペットフード安全法

平成20年6月18日法律第83号

目的:愛玩動物用につくられる飼料の安全性の確保を図ることによって、愛玩動物の健康を守ることで動物を愛護することに寄与する
きっかけ:アメリカで起こったメラミン混入事件(中国産)
対象とする動物や飼料など
  • 愛がん動物犬、猫
  • 愛がん動物用飼料:犬、猫のために栄養として使用される物(総合栄養食、一般食、おやつ、サプリメントなど。*動物用医薬品は除外)
  • 製造業者:愛がん動物用飼料の製造を業とする者
  • 輸入業者:愛がん動物用飼料の輸入を業とする者
  • 販売業者:愛がん動物用飼料の販売を業とする者
「愛がん動物用飼料」の製造や輸入業を行おうとする場合、農林水産大臣環境大臣への届出が必要です

 

トレーサビリティー:流通経路の明確化

どんな経路で作られたかをきちんと把握することで安心できるね!

安全な愛がん動物用飼料

 

それぞれの義務など
:製造方法等の基準・成分規格を設定
  • 基準規格に合わないものの製造等を禁止
  • 有害な物質を含む愛がん動物用飼料等の廃棄・回収を命令

 

輸入業者:届出・帳簿備付け義務
製造業者:届出・帳簿備付け義務
 ⇩ 製品
販売業者業者間の販売時に帳簿備付け義務

 

立入検査や報告徴収、違反した場合の罰則(懲役・罰金)あり

 

 

野生動物と関係法令

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律

平成14年7月12日法律第88号

参考:本法の前身となった法令
  • 1895(明治28)年:狩猟規則(勅令)
  • 1918(大正7)年  :狩猟法
  • 1963(昭和38)年:鳥獣保護法及狩猟二関スル法律

イノシシさんやシカさんを勝手に狩猟しちゃいけないんだよ!

 

目的:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図ることにより、生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与する

 

対象動物鳥類と哺乳類に属する野生動物
(例)きつね、タヌキ、カラス、ノイヌノネコ、野生化したアライグマ など
野生とは:飼い主の管理を離れ、常時山野等にいてもっぱら野生動植物を捕食し、生息している状態
ノイヌ、ノネコは野生動物:主として山野で生まれ、山野で生息する犬、猫

 

対象とならない動物:動物愛護管理法の対象
  • 野良犬(野犬)
  • 野良猫
野良犬(野犬)、野良猫は飼育動物:飼い主のもとを離れ、市街地や村落を徘徊している犬、猫

 

適用除外動物:狩猟してもいい動物
  • ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミ

ネズミ取りなら任せて

  • 海凄哺乳類(クジラなど)*二ホンアシカ、アザラシ5種、ジュゴンは本法が適用されます

 

 

愛玩動物飼養管理士

今回は、動物の保護に関係する法律について、たくさん勉強したね!

愛玩動物飼養管理士ではこんなことを勉強するから参考にしてみてね!

 

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