35条書面~売買・交換~
売買・交換の重要事項説明
今回は不動産の売買や交換のときに必要な重要事項説明について勉強しよう!
説明が必要
共有部分の規約
共有部分に関する規約の定めがある場合は、
案の段階でも説明をしなければならない(宅建業法35条1項6号、同則16条の2第2項)。
みんなが快適に過ごすために共有部分の使い方は大切だよ
宅地建物取引業者は、分譲マンションの売買の媒介を行う場合、建物の区分所有等に関する法律第2条第4項に規定する
共有部分に関する規約の定めが案の段階であっても、その案の内容を説明しなければならない。
管理委託先の情報
宅建業者が区分所有建物の売買の媒介を行う場合、当該
建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その
委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び
住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地)
を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号、同則16条の2項8号)。
実際に管理している人の連絡先が分からないと困るよね
区分所有建物の売買の媒介を行う場合、当該1棟の建物及びその敷地の管理が
委託されているときは、その
委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び
住所(法人委あっては、その主たる事務所の所在地)
を説明しなければならない。
積立て費
宅建業者がマンションの等の区分所有権の目的である建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の計画的な維持修繕のための費用の
積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、
その内容及び
すでに積み立てられている額を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号、同則16条の2第6号)。
どのくらい積み立て費用があるかも突然の修繕が必要になったときとかに大事だよ!
中古マンションの売買の媒介を行う場合、当該マンションの計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規定の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額について説明しなければならない。
滞納がある場合は、その旨も記載しないといけません。
敷地に関する権利
区分所有の目的である建物の
敷地に関する権利の種類及び内容については、
登記の有無にかかわらず、説明しなければならない(宅建業法35条1項6号)。
きっちり敷地の権利を把握しておかないと、トラブルの素になったりするよ!
区分所有権の目的である建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が借地借家法第22条に規定する定期借地権の設定された土地の上に存するときは、当該
定期借地権が登記されたものであるか否かにかかわらず、当該定期借地権の内容について
説明しなければならない。
インフラ設備
建物の売買の媒介を行う場合、
飲用水、
電気及び
ガスの供給並びに
排水のための施設が整備されていないときは、その
整備の見通し及びその
整備についての特別の負担に関する事項を説明しなければならない(宅建業法35条1項4号)。
プロパンガス
住宅の
売買後においても宅地内の
ガスの配管設備等の所有権が家庭用
プロパンガス販売業者にあるものとする場合には、その旨の説明をしなければならない(宅建業法35条1項4号)。
ガス設備の所有権が誰の者か分からないと何かあったときに問い合わせできないよね
急傾斜地崩壊危険区域
宅地の売買において、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条第1項により指定された
急傾斜地崩壊危険区域にあるとき、同法第7条第1項に基づく制限の概要は、重要事項の
説明対象である(宅建業法令3条1項23号)。
宅地が崩壊する危険を知らないで契約してもらうのは良くないよね!
津波防護施設区域
宅地の売買の媒介を行う場合、当該
宅地が津波防災地域づくりに関する法律第21条第1項により指定された
津波防護施設区域内にあるときは、同法第23条第1項に基づく
制限の概要を説明しなければならない。
宅地が津波防護施設区域にあるときは、津波防護施設管理者の許可が必要だったね!
津波災害警戒区域
宅建業者は、重要事項説明において、取引の対象となる
宅地又は建物が、津波防災地域づくりに関する法律の規定により指定された
津波災害警戒区域内にあるときは、その旨を35条書面に
記載しなければならない(宅建業法則16条の4の3第3号)。
自分が住んだりする所が、津波の危険があるか知っときたいよ
改正ポイント:2020年からハザードマップも重要事項説明が必要になりました。
一棟の建物の維持修繕
一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容を
説明しなければならない(宅建業法35条1項6号、規則16条の2第9号)。
区分所有建物の売買の媒介を行う場合、
一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容を
説明しなければならない。
記録されていない場合は、説明は不要です。
宅地上の権利
宅地の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名について説明しなけらばならない(宅建業法35条1項1号)。
宅地にどんな権利が登記されているか知っておかないと後々大変だよ!
抵当権
契約日までに抵当権の登記が抹消される予定であっても、
重要事項説明を行う時点で目的物に抵当権が登記されている場合、
必ず説明しなければならない(宅建業法35条1項1号)。
抵当権は、登記簿の権利部に記録される権利です。
宅地建物取引業者は、中古マンションの売買を行う場合、抵当権が設定されているときは、契約日までにその登記が抹消される予定であっても、当該
抵当権の内容について説明しなければならない。
担保責任
宅地又は建物の
担保責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置で国土交通省令・内閣府令で定めるものを講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要は、重要事項説明の
説明事項とされている(宅建業法35条1項13号)。
契約内容への不適合を担保する場合も同様です。
建物の売買の媒介を行う場合、売主が瑕疵担保履行法に基づく住宅販売瑕疵担保
保証金の供託を行うときは、
その措置の概要を説明する必要があり、当該建物についての契約不適合を担保すべき責任の履行に関し
保証保険契約の締結を行うときは、その措置の概要も説明する必要がある。
割賦販売
割賦販売とすることで、現金販売とした場合と比較してどの程度支払額が異なるか明らかにする必要がある(宅建業法35条2項1号)。
宅地建物取引業者は、土地の割賦販売の媒介を行う場合、
割賦販売価格のみならず、現金販売価格についても説明しなければならない。
金銭の貸借のあっせん
代金に関する
金銭の貸借のあっせんの内容及び当該
あっせんにかかわる金銭の貸借が成立しないときの措置は、重要事項説明の
記載・説明事項であって、これを説明する必要がある(宅建業法35条1項12号)。
宅地の売買の媒介を行う場合、代金に関する
金銭の貸借のあっせんの内容及び当該
あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について、説明しなければならない。
手付金など
手付金等の、
売買代金以外に授受される金銭があるときは、当該
金銭の額及び授受の
目的について
説明しなければならない(宅建業法35条1項7号)。
売買代金はみんな気にすると思うけど、それ以外は盲点だったりするからね
建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明する義務はないが、
売買代金以外に授受される金銭があるときは、当該
金銭の額及び授受の
目的について説明しなければならない。
媒介を依頼しても説明義務
宅地又は建物の売買において、
売主業者は相手方である買主に、
売主の媒介業者は当事者の一方である買主に対し、宅建業法35条に規定する重要事項の
説明すべき義務を負う(宅建業法35条1項)。
宅建業者は媒介を依頼しても、重要事項説明する義務があるよ!
宅地建物取引業者である売主は、
他の宅地建物取引業者に媒介を依頼して宅地の売買契約を締結する場合でも、
重要事項説明の義務を負う。
代理依頼者への説明
建物の売買について
代理を依頼した者に対しても、重要事項の
説明をする義務を負う(宅建業法35条1項柱書)。
宅地建物取引業者が代理人として売買契約を締結し、建物の購入を行うときは、
代理を依頼した者に対して重要事項の説明をする必要がある。
守秘義務の対象外
宅建業法
35条第1項各号
に掲げる事項は、買主に適切な情報を提供する必要があるため、宅建業者の
守秘義務(宅建業法45条)
の対象外である。
消費者に不利にならないようにちゃんと説明してほしいよね
宅地建物取引業者は、調査の結果判断した法第
35条第1項各号
に掲げる事項は、
売主が秘密にすることを希望した場合でも、買主に対して
説明しなければならない。
歴史的風致形成建造物
建物の売買において、その建物が
歴史的風致形成建造物である場合には、
制限の概要について説明する必要がある(宅建業法35条1項2号、同法施行令3条1項12号の5)。
歴史的な建物で法律で守られていることは、普通の人はなかなか知らないよね
地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第12条第1項により指定された
歴史的風致形成建造物である建物の売買の媒介を行う場合、その
増築をするときは市町村長への届出が必要である旨を
説明しなければならない。
建物状況調査
取引建物が既存の建物であるときは、
建物状況調査を実施しているかどうか、およびこれを
実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号の2イ)。
あとでまた詳しく勉強するけど、1年以上前の建物状況調査はノーカウントするよ!
説明が不要
売主に対して
宅建業法35条の重要事項説明書は、物件を取得し又は借りようとしている者に対して交付し説明しなければならない(宅建業法35条1項柱書)。売買の場合は買主に対して説明をすればとく、
売主に対しては説明する必要はない。
売る側は自分の物件についてよく分かっているはずだからね
宅地の売買の媒介を行う場合、売買の各当事者ではなく
買主に対してのみ、書面を交付して説明すればよい。
売主が宅建業者でなくても、説明は不要です。
お互い宅建業者
宅建業者間の取引では、35条書面の交付のみで説明までは不要である(宅建業法35条6項、同1項)。
宅建業者だから、書面さえみれば説明されなくても分かってるはずだからね!
説明は省略可能
宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買について売主となる場合、
買主が宅地建物取引業者である場合、重要事項
説明は省略してもよいが、35条書面の交付は必要である。
区分所有建物の売買において、売主及び
買主が宅地建物取引業者である場合、当該売主は当該買主に対し、法第35条の2に規定する供託所等の
説明をする必要はない。
耐震診断
昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものであれば、
耐震診断を受けたものである旨を説明しなくてもよい(宅建業法35条1項14号、同則16条の4の3第5号)。
昭和56年6月1日から建築基準法が変わって新築物件は耐震構造になっているはずだからだね!
昭和56年は西暦1981年です。
僕は1994年4月12日生まれなので、中川パラダイスさんとちょうど13歳差です!
約40年前に建てられた建物は耐震診断の説明不要と覚えましょう
昭和60年
昭和60年10月1日に新築の工事に着手し、完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が指定確認検査機関による
耐震診断を受けたものであっても、その内容を説明しなくてもよい(宅建業法35条1項14号、同則16条の4の3第5号)。
耐震診断の実施までは不要
建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売主に耐震診断の記録の有無を照会したにもかかわらず、当該有無が判別しないときは、自ら
耐震診断を実施する必要はなく、当該
有無を説明すればよい。
宅建業者が耐震診断を実施しなければならないとする規定は存在しません。
これをしないといけなかったら、宅建業者の負担が大きくなりすぎますね
昭和56年6月1日より前
建物(昭和56年6月1日より前に新築の工事に着手したもの。)が一定の者が行う
耐震診断を受けたものであるときは、
その内容を説明しなければならない(宅建業法則16条の4の3第5号)。
築約40年以上の建物は耐震診断をしていたら、その説明をしないといけないよ
昭和55年に新築の工事に着手し完成した建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が地方公共団体による
耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならない。
総会の議決権
管理組合の総会の議決権に関する事項は説明事項ではない。
宅地建物取引業者は、自ら売主として分譲マンションの売買を行う場合、管理組合の
総会の議決権に関する事項について、管理規約を添付して
説明する必要はない。
引き渡し時期
契約してからじゃないと引き渡しの時期も分からないよね
自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、当該建物の
引渡し時期を説明する必要はない。
移転登記の申請時期
移転登記の申請の時期は、宅建業法35条の重要事項説明の
記載事項ではなく、説明の必要もない。
契約してからじゃないと登記のタイミングは分からないよね!
土地の売買の媒介を行う場合、移転登記の申請の時期の定めがあるときでも、その内容を
説明しなくてもよい。
天災などの損害
天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めの内容は、重要事項説明における
説明事項ではない。37条書面の記載事項である。
天災そのものが起こるリスクは説明事項だけど、起こった時の対応までは契約前には説明しないんだね!
建物の売買の媒介を行う場合、
天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときでも、その内容について、
説明しなくてよい。
50万円未満の保全措置
支払金又は預り金を受領しようとする場合、保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要を、原則として説明しなければならない(宅建業法35条1項11号)。しかし保全措置を講じる場合でも、
50万円未満のものについてはその概要の説明が不要である(宅建業法則16条の3第1号)。
額が小さい(50万円未満)だと、説明する必要がないんだね
保全措置そのものが必要かどうかとは別の話です。
売買
建物の売買の媒介に関し、受領しようとする預かり金について保全措置を講ずる場合において、預かり金の額が
50万円未満であるときは、その
措置の概要を説明する必要はない。
交換時も同様
宅地の交換において交換契約に先立って交換差金の一部として
30万円の預り金の授受がある場合、その預り金を受領しようとする者は、保全措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合はその概要を
重要事項説明書に記載する必要はない。
建物の現状
宅地建物取引業者Aは、Bが所有し、居住している甲住宅の売却の媒介を、また、宅地建物取引業者Cは、Dから既存住宅の購入の媒介を依頼され、それぞれ媒介契約を締結した。その後、B及びCは、それぞれA及びCの媒介により、甲住宅の売買契約を締結した場合。
1年以上経過した場合
取引建物が既存の建物である場合に、実施しているかどうか、およびこれを実施している場合におけるその結果の概要を重要事項として
説明しなければならないとされている「
建物状況調査」は、
実施後1年を経過しないものに限られている(宅建業法35条1項6号の2イ、宅建業法則16条の2の2)。
CがDとの間で媒介契約を締結する
2年前に、甲住宅は既に
建物状況調査を受けていた。この場合において、A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、建物状況調査を実施している旨及びその
結果の概要について説明する必要はない。
調査者のあっせんの有無
宅建業者は、既存住宅の売買の
媒介契約を締結するときは、媒介契約書に
建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について
記載しなければならない(宅建業法34条の2第1項4号)。
媒介契約をする前までに確認しておかないといけないよ!
Aは、甲住宅の売却の依頼を受けた媒介業者として、
媒介契約が成立するまでの間に、Bに対し、
建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。
内容までは説明不要
既存住宅の売買をする場合、
設計図書、
点検記録その他の
建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるもの
の保存の状況を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号の2ロ)。
書類があるかどうかを説明すればよくて、その内容までは説明しなくていいんだね!
A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、甲住宅について、
設計図書、
点検記録その他の
建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況については説明しなければならないが、それぞれの書類
に記載されている内容について説明はしなくてもよい。
建築確認証がなくなっている場合は、なくなっている旨を説明すればいいです。
その他
申込金
申込みは契約ではないため解約手数料は発生しない。撤回に当たっては速やかに
申込金を返還しなければならず、解約手数料に充当することは許されない。
重要事項説明をしただけでは、もちろん契約したことにはならないよ!
宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bと宅地の売買について交渉を行う場合。Bは、買受けの申込みを行い、既に申込証拠金を払い込んでいたが、申込みを撤回することとした。A社は、既にBに重要事項説明を行っていたため、受領済みの
申込証拠金については、解約手数料に充当するとして
返還しないこととしたが、申込みの撤回には応じることは、宅建業法に
違反する。
石綿
石綿の使用の有無の調査の結果が記録されている場合、宅建業者には当該
調査をする義務はない(宅建業法35条1項14号、宅建業法則16条の4の3第4号)。
建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているか照会を行ったにもかかわらず、その存在の有無が分からないときでも、
宅建業者自らが石綿の使用の有無の調査を実施する必要はない。
最後に
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