借家契約の更新と解約
今回はこの借家契約の更新と解約について借地借家法で定められているルールについて詳しく見ていこう!
契約の締結時
書面交付と説明
定期建物賃貸借契約において
契約の更新がないこととする場合、建物の
賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した
書面を交付して説明しなければならない(借地借家法38条2項)。
契約の更新がないことにするときは、書面の作成と説明が必要だよ
当該書面は、契約書と別個独立していなければなりません(判例)
Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合。AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めるものである場合、当該契約前にAがBに契約の更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した
書面を交付して説明しなければ、契約の更新がない旨の
約定は無効となる。
ちなみに、普通建物賃貸借の場合はそもそも契約の更新がないことにすることはできません。
通知が必要
定期建物賃貸借契約において期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、
期間の満了の一年前から六月前までの間に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の
通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に
対抗することができない(借地借家法38条4項)。
契約終了の半年から1年くらい前に改めて教えて(通知を)くれないと忘れちゃうよ💦
Aが所有する甲建物をBに対して賃貸する場合の賃貸借契約の条項に関して。AB間で公正証書等の書面によって借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借契約を契約期間を2年として締結する場合、契約の更新がなく期間満了により終了することを書面を交付してあらかじめBに説明しても、期間満了前にAがBに改めて
通知しなくても契約が終了する旨の
特約を有効に定めることはできない。
契約終了には、書面と説明と通知がセットで必要です
事業用と居住用
契約の更新がないこととする旨を定める定期建物賃貸借は、
事業用建物か居住用建物かを問わず、定めることができる(借地借家法38条5項参照)。
事業用でも居住用でも、契約の更新がないことを定めるとこはできるよ!
申入れ期間
賃貸人が解約の申入れをした場合、申入れ日から6月を経過することで賃貸借契約は終了する(借地借家法27条)。これより短い期間を定めた特約は、
賃借人に不利なものであるから無効(借地借家法30条)である。
Aが所有する甲建物をBに対して3年間賃貸する旨の契約をした場合。Aが甲建物の賃貸借契約の解約の申入れをした場合には申入れ日から3月で賃貸借契約が終了する旨を定めた特約は、Bがあらかじめ
同意していても無効となる。
中途解約
普通と定期
中途解約の規定
借家契約においては、中途解約ができないのが原則です。
よって、普通借家契約において賃貸人も賃借人も契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は有効です。
定期借家契約の場合、借地借家法38条5項で例外的に中途解約できる場合が定められているが、38条6項でさらにその例外が定められている。
中途解約の規定
- 普通借家契約→原則、中途解約できない
- 定期借家契約→ケースバイケース
過去問
A所有の居住用建物(床面積50㎡)につき、Bが賃料月額10万円、期間を2年として、賃貸借契約(以下、「本件
普通建物賃貸借契約」という。)を締結する場合と、同放題38条の定期建物賃貸借契約(以下、「本件
定期建物賃貸借」という。)を締結する場合。
普通建物賃貸借契約
本件普通建物賃貸借契約では、中途解約できる旨の留保がなければ賃借人は2年間は当該建物を借りる義務があります。
本件
普通建物賃貸借契約は、2年間の期間が設定されており、また、
解約できる旨の留保がないため、借主には2年間当該
建物を借りる義務がある(民法618条)。
定期建物賃貸借契約
本件定期建物賃貸借契約では、一定の要件を満たすのであれば、中途解約できる旨の留保がなくても賃借人は期間の途中で解約を申し入れることができます。
定期建物賃貸借契約では、居住の用に供する建物の賃貸借(床面積が200㎡未満の建物に係る物に限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他
やむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の
賃借人は、建物の賃貸借の
解約の申入れをすることができる(借地借家法38条5項)。
この場合では、床面積が50㎡<200㎡だから、中途解約できるよ!
正当な事由
賃貸人による更新をしない旨の通知は、
正当な事由がなければすることができない(借地借家法28条)。
正当な事由の判断材料
- 賃貸人が建物を必要とする事情
- 賃貸借に関する事前の経緯
- 建物の利用状況
- 建物の現況
- 賃貸人による財産上の給付の申し出(補完的事由)
いろんな条件が考慮されて、一概には何が正当な事由かは言えないよ
過去問
AはBと、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間3年、賃料月額20万円と定めて賃貸借契約(以下「本件契約」という。)を締結した。BがAに対し、本件契約の解約を申し入れる場合、甲建物の明渡しの条件として、一定額以上の
財産上の給付を申し出したときでも、Bの解約の申入れに
正当事由があるとみなされるとは限らない。

立退料だけでは正当事由にはなりません
財産上の給付の申し出はいわゆる立退料のことです。
申入れの期間
建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の
申入れから六月を経過することによって終了する(借地借家法27条1項)。
終了の通知の時と同じで、半年くらいは次の家探しに欲しいよね!
転借人への通知
建物の転貸借が適法にされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の
賃貸人は、建物の
転借人にその旨を
通知しなければ、その
終了を転借人に対抗することができない(借地借家法34条1項)。
AがBに対し、A所有の甲建物を3年間賃貸する旨の契約をした場合。Bが適法に甲建物をCに転貸していた場合、Aは、Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するときは、特段の事情がない限り、
Cにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の
終了をCに対抗することができない。

転借人にも通知が必要です
契約の更新
建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月までの間に相手方に対して更新をしない旨の
通知をしなかったときは、
従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その
期間は、定めがないものとする(借地借家法26条1項)。
通知をしなかったときは、賃料は変わらず、無期限の契約をしたことになるよ!
法令又は契約により一定の期間を経過した後に
建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、
建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる(借地借家法39条1項)。そしてその際にはこの旨を記した書面をもってする必要がある(同2項)。
建物を取り壊すんだから、建物の賃貸借契約のしようがないからね!
法令によって甲建物を2年後には
取り壊すことが明らかである場合、取り壊し事由を記載した書面によって契約を締結するのであれば、建物を取り壊すこととなる2年後には更新なく賃貸借契約が
終了する旨の特約を有効に定めることができる。
一時使用目的
一時使用目的の賃貸借契約では、借家に関する規定は適用されない。よって、
一時使用目的の場合は民法が適用される。
あくまで、一時使用だから借地借家法で手厚く守られてないよ
Aが所有する甲建物をBに対して賃貸する場合。AB間の賃貸借契約が一時使用目的の賃貸借契約であって、賃貸借契約の期間を定めた場合には、Bが賃貸借契約を期間内に
解約することができる旨の特約を定めていなければ、Bは賃貸借契約を
中途解約することはできない。
民法では特約がない限り途中解約はできません
最後に

宅建 過去問 2021 - 一問一答と10年分の過去問演習アプリ
Trips LLC無料posted withアプリーチ
コメント