担保責任特約の制限

宅建士

担保責任特約の制限

 

担保責任特約

契約の不適合があったら、担保責任を負うことがあるんだったね

 

その担保責任の特約を付けるときにも制限(ルール)があるよ

 

売主が責任を負う期間
  1. 引渡しを受けた買主が、不適合を知ったにもかかわらず売主に通知しなかったときは、その知った時から1年間(民法566条本文)。
  2. 引渡しを受けた買主が、不適合を知った時から一年以内に売主に通知したときは、その不適合を知ったときから5年間、又は引渡しから10年間のいずれか先に到来した時点まで(民法166条1項)。
  3. 引渡しを受けた買主が、不適合を知らないときは、引渡しから10年間(民法166条1項2号)。

これは民法だから、不動産の宅建業法では少し違ったりするよ!

これをふまえて、どんな特約が有効でどんな特約が無効なのか勉強しよう

 

 

特約が有効

まずは有効な特約から見ていこう

引渡しから2年以上

宅建業者を売主、宅建業者以外の者を買主とする売買契約において、契約不適合の通知期間を目的物の引渡しの日から2年以上とする特約は有効である(宅建業法40条1項、2項)。

ずっと売主に担保責任があるのもかわいそうだから、引渡しから2年以内に不適合の通知が無ければ、担保責任を負わなくてもよくなる特約はつけられるよ!

引渡しから2年

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約に関して。売買契約において、目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に、その不適合について買主が売主に通知すべき期間を引渡しの日から2年間とする特約を定めた場合、その特約は有効となる。

 

引渡しから3年

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で宅地の売買契約を締結する場合。Aが担保責任を負う期間を目的物の引渡しの日から3年間とする特約は、有効である。

2年以上だから、もちろん3年でも大丈夫だよ!

 

引渡しの日が大切

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関して。当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者でない買主Eとの間で、「A社が担保責任を負う期間は、売買契約締結の日にかかわらず引渡しの日から2年間とする」旨の特約を定めることは、宅建業法に違反しない
契約締結日は関係なく、引渡しの日が重要です。

引渡しされないと、不適合を発見しようがないからね

 

不適合の発見から1年以上

担保責任を負う期間に関しては目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない(宅建業法40条1項)。

逆に買主に有利な特約はできるよ

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結する建築工事完了後の建物の売買契約に関して。当該契約において、Bが担保責任に基づく請求をすることができる期間として、Bが不適合を発見した時から2年間とする旨の特約を定めることができる
本来は不適合を発見してから1年以内に請求が必要です。

 

宅建業者同士

宅建業法40条の担保責任を負う期間に関する制度は、宅建業者同士の取引においては適用されない(宅建業法78条2項)。

宅建業者間の取引は自由に特約を定められるよ!

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関して。当該建物が中古建物である場合、宅地建物取引業者である買主Dとの間で、「中古建物であるため、A社は、担保責任を負わない」旨の特約を定めることは宅建業法に違反しない

 

特約を定めない

買主に不利な特約をすることは許されないが、特約をしないこと自体は問題ない。

特約が無かったら、いつも通り民法に従うよ

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として建物の売買契約を締結する際の特約に関して。当該建物が新築戸建住宅である場合、宅地建物取引業者でない買主Bの売買を代理する宅地建物取引業者C社との間で当該契約締結を行うに際して、A社が当該住宅の担保責任を負う期間についての特約を定めないことは、宅建業法に違反しない

 

 

特約が無効

キキ

無効な特約ってどんなのだろう?

引渡しから2年未満

引渡しから1年

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合。Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「AがBに対して担保責任を負う期間は、建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、BがAに対して担保責任を追及することができる期間は、買主が不適合を知った時から1年間となる

引渡しから2年以上じゃないと特約はつけれなかったね

 

締結から2年?

宅地建物取引業者Aが自ら売主となる売買契約に関して。宅地建物取引業者でない買主Eとの間で締結した宅地の売買契約において、当該宅地の引渡しを当該売買契約締結の日の1月後とし、当該宅地の契約の不適合を担保すべき責任を負う期間について、当該売買契約を締結した日から2年間とする特約を定めることはできない

よく見ると、引渡しからは1年11ヶ月しか担保責任を負ってないよ!

 

不適合の範囲を限定?

宅地建物取引業者A社が、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した売買契約に関して。A社は、Bとの間で締結した中古住宅の売買契約において、引渡後2年以内に発見された雨漏り、シロアリの害、建物の構造耐力上主要な部分の契約内容への不適合についてのみ責任を負うとする特約を定めることはできない

担保責任を負う範囲を狭める特約は買主に不利だからダメなんだね

 

取り壊すから担保責任いらない?

宅地建物取引業者Aが自ら売主となる売買契約に関して。宅地建物取引業者でない買主Cとの間で土地付建物の売買契約を締結するに当たって、Cが建物を短期間使用後取り壊す予定である場合でも、建物ついての担保責任を負わない旨の特約を定めることはできない

取り壊しの予定があっても、買主に不利な特約はイヤよ

 

無過失責任

民法上では、担保責任は無過失責任であり、売主の責めに帰すべき事由によるか否かにかかわらず責任を負う
無過失責任(むかしつせきにん)とは、不法行為において損害が生じた場合、加害者がその行為について故意・過失が無くても、損害賠償の責任を負うということである。

売主が悪くなくても担保責任があるよ

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約に関して。売買契約において、売主の責めに帰すべき事由による契約内容の不適合についてのみ引渡しの日から1年間担保責任を負うという特約を定めた場合、その特約は無効となる。

 

契約解除できない特約?

担保責任の追及として、契約の内容への不適合を知った時から1年以内はその契約を解除できる(民法566条)。そのため、この期間内で契約を解除できないとする特約は、民法566条より買主に不利な特約であり、無効である(宅建業法40条2項)。

不適合を知った時から1年以内は契約解除もできるよ!

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約に関して。Aが担保責任を負う期間内においては、損害賠償の請求をすることはできるが契約を解除することはできないとする特約を定めた場合、その特約は無効である。

 

 

 

最後に

勉強したことは過去問アプリなどで復習しましょう!

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